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ミツバチの生態

ミツバチ社会

ミツバチの社会は、人間以上に、役割分担が非常にはっきりしていて、一匹の女王蜂と沢山の働き蜂、少数の雄蜂で構成され、働き蜂はなんと雌だということです。しかし女王蜂と働き蜂は同じ雌でも、身体の大きさ、生理的にも全く違うのです。この違いには食料にあります。ミツバチの社会では雌として産み付けられた卵は、女王蜂または働き蜂のいずれにもなる可能性があるのですが、おのおの食事が全く違います。女王蜂の候補にはローヤルゼリーが、働き蜂の幼虫には花粉、蜂蜜が与えられます。また、女王蜂は王台と呼ばれる特別の部屋で育てられ、働き蜂は六角形の部屋で育てられることになり、卵を産みつけられた場所で、その運命が決まるのです。女王蜂の産卵能力は1日に約1000個以上でまさに産卵のために生まれてきたようなものですが、その他の機能は同じ雌である働き蜂よりも退化しています(例えば蜜を採取する肢が短いなど)。また、決定的な違いは寿命で、働き蜂が1ヶ月余りなのに対して女王蜂は中には6年ほど生き延びるものもいて、昆虫界ではとても珍しいことなのです。

一方の雄蜂は巣の仕事(働き蜂のする事)には一切関わらず、時々外出して結婚相手の処女王を待ち続けます。この雄蜂は春の交尾シーズンになると1つの巣で数百匹にもなり、いとたび女王蜂を見つけると、雄たちは1匹の処女王に向けて、死に物狂いで戦います。しかし、これだけ競争の中で生き残った雄でさえも交尾の直後にショック死してしまいその生涯を終えます。女王蜂はこのとき続けて数回の交尾をして、その数だけの雄の命が奪われることになります。また、交尾によって命が奪われるのが一般の雄の運命ですが、中には巣に残って働かずにブラブラしているものは、生き残れるかといったら、現実はそう甘くはありません。蜂の巣の中では役立たずということで、巣から外に出されてしまいます。役に立たなくなった雄蜂は餌をただ浪費するだけという全く無用な生物であり、自給できない雄はやがて餓死してしまうのです。まさに働かざるもの食うべからず、であります。このように我々人間界以上に、役割分担が徹底されていて、とても厳しい社会なのです。

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ミツバチの会話

人間は一人だけでは生きて行くことが出来ないわけですが、ミツバチの社会では人間以上にお互いの協力がないと成り立たないのです。それはミツバチの生命維持において最も大事なこと、すなわち蜜を集めるということです。ミツバチの巣には女王蜂の他に沢山のミツバチの赤ちゃんが餌を待っているわけですが、当然一匹の働き蜂(以下ここでは収穫蜂とする)では賄いきれません。そこで大勢の収穫蜂が協力して蜂の巣に良質の蜜をどんどん運び込むわけです。このとき蜜のありかは働き収穫蜂のそれぞれが自分自身で見つけるのではなく、もし一匹が蜜源を見つけると他の蜂に伝えなければなりません。「ここに良質の蜜があるぞ!」と。人間なら大声を出せば伝えることができます。ミツバチの場合はどうでしょう?・・・。「ダンス」という方法で伝えているのです。それも蜜のある場所までの距離、方向、蜜の品質まで伝えているのです。具体的には蜜を見つけて巣に戻ってきた収穫蜂は円形ダンス(ぐるぐる回る)をします。すると残った収穫蜂はお尻を追いかけ同じようなダンスをし、次々に伝令が行くわけです。すなわち円形ダンスは巣の近くに「何か良いものがあるから取りに行け!」という合図なのです。

このダンスは良質で豊富な特に蜜が甘ければ甘いほど、活発なダンスが行なわれ、多くの収穫蜂の動員が必要ないときにはダンスは行なわれません。巣の蜜源が枯れてくると、ダンスは気の抜けたようになり、やがて踊らなくなるのです。蜜源までの距離を表す具体的な方法は、蜜源が近くにあるときは円形ダンスをし、遠くにあるときは尻振りダンス(実際には半円を描く)を行ないます。円形ダンスと尻振りダンスにより、「近いぞ!」「遠いぞ!」という情報を、まだ蜜のある場所に行ったことのない収穫蜂に次々伝令されるのです。

さらに羽の羽ばたく回数(実際には音でわかる)によって、より細かい情報を伝えることができるということが最近明かされてきました。距離だけではなく、蜜のある方向もそうです。考え方によっては、人間よりも情報の伝達に関してはとても正確なのかもしれません。

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ミツバチの巣、六角形の謎

ハニカム構造という言葉を聞いたことがあるでしょうか?建築物、飛行機の翼、新幹線など我々の身のまわりではかなりの所で使われています。筆者自身も学生時代、趣味でオーディオをやっているとき、音響機器の筐体に六角形のハニカム構造を見たことがあります。いったいどんな効果があるのだろうと調べたところ、平板のものと比べてかなりの音質の向上効果があると本に載っていました。

では何故六角形の住居を作るのでしょうか?ミツバチの幼虫を限られたスペースの中に最も効率よく収めようとするとどのような形が良いでしょうか?

皆さんもご存知だとは思いますが、言うまでも無く六角形です。例えば丸型ですと縦横にどんどん並べていく時に、隙間、すなわち無駄なスペースが出来てしまい不経済ですし、四角型だと各巣の間は無くなるが、鉢が入った時に隙間が多すぎる。よって六角形が蜂の体型から見ても最も効率が良いのです。ミツバチがこの六角柱型の育児室を採用したのは、彼らの体型が弾丸型で、断面層が六角形に近いからに外なりません。

長さを測る定規や、角度を測る分度器も無に、このような六角形を規則正しく作り並べる能力、またそうした大変効率の良い構造物を設計できる能力には多いに驚嘆させられ、場合によっては人間よりも優れているといえるかもしれません。

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なぜミツバチは刺すのか?

皆さんは蜂に刺されたことがありますか?大半の方は経験が無いでしょう。なぜなら蜂(ミツバチ)は決してむやみに人を刺すものではないからです。仮に巣箱に近づいた時にミツバチが人間の体を覆い尽くしたとしても、手で振り払ったりしてこちらから攻撃しなければ余程の事が無い限り刺すことは無いのです。ではどんな時にさすのでしょう?彼女らが(働き蜂はメス)攻撃をしてくるのは巣が襲われた時です。

ミツバチが刺した時の特徴といえば刺した針を皮膚に刺したまま残していくという事です。この場合、針をポンと体から外していくのでは無く、内臓も一緒に引き千切れてしまい(内臓は破壊されます)大半の場合死んでしまいます。彼女たちの針には釣り針で言う「かえし」のようなものが付いていて、簡単には抜けなくなるのです。何故こんな無意味な機能(かえしが付いている)をあんなにも優れたミツバチに機能として備わっているのでしょうか?

「ミツバチ社会」でも取り上げたように、ミツバチ界は役割分担が人間社会以上にはっきりしていて、働き蜂の数匹、いや数百匹の死は問題ではないのです。外敵から襲われた時に守らなければならないのは、自己ではなくて「巣」という一つの集落なのです。針と一緒に毒腺及びそれに付随する筋肉が刺した敵に残され筋肉は収縮運動を繰り返し、毒を送り続けます。そして針から揮発性の物質が発散し、他の仲間の興奮を誘発します。こうして一匹が刺すと、次々に特攻隊が刺し続けるのです。彼女たちにとって巣を守ることが出来なければ、生きている事態全く無意味なことで、自己の自立心を集団に譲り渡した完全な、集団社会構造が出来ているのです。その構造は文献によると、少なくとも四千万年以前にも遡り、以後本質的な変化はしていないのだといいます。彼女たちは我々人間にはとてもついていけそうにも無い社会を当たり前のように受け止め、自らの命を捧げるのです。

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ミツバチの生産物

[ハチミツ]

ミツバチの生産物としてもっともポピュラーなものは蜂蜜です。蜂蜜はどうやって出来るのでしょう?どうやって、と言っても花から運ばれてくる蜜そのものが蜂蜜だと思われている方が多いのではないでしょうか?いや、違うのです。

蜂蜜とは働き蜂が集めてきた花の蜜(主にショ糖)をまず胃の近くにある蜜嚢というところに蓄えて巣に持ち帰り、巣で待っていた別の働き蜂に口移しします。この時、体内の転化酵素の働きによってショ糖からブドウ糖及び果糖へと変化します。そしてさらに貯蔵室に運ばれ、水分を羽ばたきによってコントロールして、適度な濃度になった物が蜂蜜となるのです。

[ローヤルゼリー]

ローヤルゼリーはまさに女王蜂の主食で、働き蜂の集めた花粉を若くて生きの良い働き蜂がそれを食べ、腸で吸収して、頭のところにある咽頭腺から分泌された物です。主成分はタンパク質、脂質、糖質の他、アミノ酸、各種ビタミン、ミネラルを含んでいます。その他、アセチルコリンという生体の抵抗力を強化すると言われる物質も含まれています。女王蜂だけが食することの出来るローヤルゼリーですが、これのお陰で働き蜂に比べて体の大きさで3倍、寿命で30倍も長生きできるわけです。

[プロポリス]

ご存知皆様ご利用されているプロポリスは、ミツバチが木の芽や樹皮から樹液を集め、その樹液とミツバチの分泌する唾液の強力な酵素が混ぜ合わさってできる物質のことです。ミツバチはその物質(プロポリス)を巣の入り口に塗り付けて、巣の中に外部からバクテリアやウイルスが侵入してくるのを防いでいます。抗菌殺菌作用があるといわれるのもこのためです。

ミツバチは自分たちが生きていくため、また、子孫繁栄の為にこのような生産物を使い分けるのですが、蜂蜜やローヤルゼリーはそれらを食することによって彼らの生命を維持するための物に対して、プロポリスという物質は彼らを脅かすバクテリアやウイルスなど外敵から身を守るための物質であるというところが大きな違いです。

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無限の能力と可能性を秘めたミツバチ

良くプロポリスなど、蜂の生産物を扱っている業者はその商品を「ミツバチからの贈り物」などと綺麗な表現を使いたがりますが、本来ミツバチたちが生きていくためにせっせと築き上げたプロポリスコロニーを人間が横取りしているわけです。横取りされたミツバチたちは、強力なプロポリスバリケードが無くなってしまったので、生きていくためにまたプロポリスを生産し始めます。この営みは、地球の自然環境が保たれている限りこれから先もずっと続くはずです。

「ミツバチの歴史は人類の歴史」などという諺がヨーロッパにあるようですが、それほどに人間とミツバチは遠い昔から、長い歴史があります。スペインで発見された紀元前6千年頃の洞窟壁画しは、蜂の巣から蜂蜜を採取する風景が描かれています。古代エジプトでは養蜂業も誕生し、蜂蜜を利用するだけではなく、プロポリスというミツバチの生産物をミイラなどの防腐剤として使い、ヨーロッパでは古くからの民間薬としても利用されてきました。

人間との関係が長く、ミツバチのその優れた能力から既に「出尽くした」とさえ言えそうですが、まだまだミツバチには未知の能力や可能性があります。何故なら人間ですら紀元前の頃に比べれば遥かに進歩しているのですから・・・。

ミツバチの生産物の中でも特にプロポリスが優れているといえるのは、古代エジプトの時代からプロポリスを身を守るために生産し、それを人間が薬として利用するために奪おうとも、その姿形を変えず、絶えず生産し続け、彼ら自身もまた生き延びてきたという事が証明しているといえます。

何れにせよ今後とも私たちがミツバチに期待できることは、まだまだ数多くあるはずです。ただ今後もプロポリスなどをミツバチから頂戴するのであれば、せめて、彼らの仕事場でもあり我々人間との共存の場である自然環境を私たち人間の手で破壊するのだけは止めなければなりません。